2015年05月24日

〈24〉題して「漢文句法 基礎ドリル」

前回,以下のように述べた。
・・・今年度は、「漢文の授業らしく」やろうと準備をしている。
そのココロは、伝統的な「訓点・返り点」にはじまる市販の問題集をベースにして、
順番はそのままに、『漢文解析』のテイストで説いていく、というスタイルである。
 今手元には、三冊ばかり売れ筋と思われる句法練習の問題集を買ってある。
見事といいうる点は、著者も出版社も違うのであるが、構成がほぼ同じで、
  説明の仕方も横一線で区別がつかないという点である。・・・・
  『漢文解析』はそれを解体して独自の構成としたが、
  その「完結」を受けて、今度は旧来の流れのままで
似て非なるものとして説いていく予定である。

 その授業も3回目を終えた。テキストは、今年度からの新作書き下ろしである。
TOPページのメニューボタンに「句法復練帳」というのができているのに気づかれたかもしれない。
「読者沙竜」(=読者サロン)という企画を思いついて、ボタンをつくったものの、
読者の感想意見を紹介しながら、いろいろコメントして、またそれに意見を・・・
というのは一部ブログとかぶるし掲示板みたいに書き込み式でないといけないし、
すると管理するヒマがないし・・・・なんて思っていたらどうにも進まないので、
先送りにして、現在進行の内容をアップしするほうが速いとおもった次第である。
それは結局は、読者からの希望に応えたものでもあるし、
『医大受験』での連載完結後の提示の場となるからである。
とりあえず、今回は、「はしがき」だけ紹介したい。

はしがき

古代中国語で書かれた漢文は、和人にとって「外国語」です。そして、文法構造が大きく異なる漢文を読み解き、その中身を吸収するために、古和人が千年以上かけて磨き上げてきた翻訳技術が「訓読法」です。しかし、この技法は長らく各家の秘伝とされ、部外秘であり、様々な流派がありました。時代は下り、やがて儒学の奨励と普及によって、江戸時代中期以降には一般に広まるようになり、明治になってからは法律によって訓読の方法が統一・標準化されるにいたり、今、私たちが目にするのはこの「訓読法」です。

このような長い歴史をもつ訓読法ですから、現代日本語に溶け込んでいるものも多々あり、高校生の漢文入門にあたっては、この訓読法から入り、その伝導を受け継ぐことが有効であることは明らかです。

しかし一方、古和文に訳すための技術として発展したために、現和人にとっては、前提として「古文」の習得(昔の和人には不要でした)という遠回りが必要になります。また、英文法と相通じるところがある漢文法ですが、古和人が英文法を知らなかったゆえに理解できなかった前置詞や関係詞などがあり、文法的に見直した方がよい箇所があるのも事実ですから、訓読法を現代的な視点から捉え返して学ぶこともまた有効であり、むしろ必須といえるのです。

『思考訓練の場としての漢文解析』(2014育文社刊)ではそのベースとなる漢文法の新しい姿を提示しましたが、それは伝統的な漢文訓読法と句形・句法をすでに学んだ人にとっての再入門篇でした。

これに対して本書は、これから漢文を学び始める人を想定して、和人として誇るべき文化遺産たる訓読法から、漢文法へとつながるように学べるドリル形式の演習となっています。

誰もが知っている、教科書でも出会う有名な例文をもとに文法的に解析していきます。それを通して、我々の祖先が築き上げた訓読法のすごさ、すばらしさを改めて認識することにもなるはずです。


いずれ、メニューボタンからはいれば、テキストそのもののpdfファイルが直接ひらけるように
するつもりである。

posted by Kyuzen Ichikawa at 08:38| 閑綴帳