2016年02月18日

〈31〉ヘリウム、ネオン,・・・を「希ガス」というが...

電子ブックの公開
まずは、『医大受験』vol.16を電子ブックで公開したのでお知らせする。
GHSのHPのテキスト公開コーナーから入ると閲覧できる。
最終号 vol.16は、諸般の事情から市場に出ず、非売品となった。
定期購読者には、感謝号として無料贈呈されたとのこと。
ということは、ふつうに書店などで目に触れることがないわけで、
なんのための原稿か?という思いも残るので、アップしたわけである。
しかもそれは「連載第1回」だったからという理由もある。
 最終刊で連載第1回という取り合わせは、さながらJ.ジョイスの小説のようでもあるが、
GHSとしては大真面目に、この続編をHP上等で果たしていく決意の表明である。
たまたま、電子ブック作成サイト&ソフトという媒体と出会ったので、
漢文の第一弾としてアップした次第。
 しばらくは『漢文解析』も市場流通から姿を消すので、こちらもアップしたいのだが、
育文社から譲り受けたデータファイルは、inddとかいう出版向けのプロいソフトで、
現状ではpdfに変換できないので、こちらが先になった。

希ガスの「希」とは?
 ご存知の人はご存知のように、私自身の日常は、漢文より化学を教えている方が断然に多い。
……まあ、それだけに化学は心の内ではかなり飽和してきているので、
「漢文を教えているときは実に楽しそう」とGHS生に指摘される有様(⌒-⌒; )
 その化学の授業でも、漢文と漢字の学びは、生徒の理解を助けることもある。

 もし、手元に周期表があれば(一般読者はネットで画像検索!!)最右端にある
「希ガス」元素を眺めてほしい。18族を縦に見ていくと、
上からHe(ヘリウム),Ne(ネオン),Ar(アルゴン)・・・とつづく。

 夜のネオンは、Neを閉じ込めた管内で放電して光を放つ。
毎夜・毎夜、そうしてもNeはビクともしない。
容易に化学反応しないから、別名「不活性ガス」というのだから。
車のヘッドライトのキセノンランプも、リビングのダウンライトのクリプトン球も、
長持ちするのは同様に、「不活性ガス」だからである。
それらを「希」ガス元素というのはどうして?という話である。

 希望の「希」ではあるが、実は「稀(まれ)」の略字である。
「希少」は正しくは「稀少」と書いた。しかし、教育漢字とやらに「稀」がないので、
右側だけでゴマかしているわけである。

とても安定な(不活性な)元素なのに、ごくわずか(稀少)しか存在しない、
という謎解きは化学畑でやることなのでここでは省くとして、実は、
「稀」を「希」と書くのはあながち間違いではない、というより「言い得て妙」である。
なぜなら、それ以外の不完全な元素達は、「希ガス元素」の電子配置に憧れて、
この電子配置を目標として1価の陽イオンとなるのだし
   ナトリウムイオン≒ネオン のコピー.jpg
   (例 NaイオンはNeと同じ電子配置)[http://www.hamajima.co.jp/bio/より]

また、水分子やメタン分子などは、電子数だけみれば分子全体としてNeを気取っている。
ただ、それが本物でないから、かつ、不完全なものだから、他のベターなパートナーを
求めて化学反応という離散集合を繰り返すのである。
 ということは、完全に満たされた電子配置をもつ希ガスとは、
他の不完全な原子達にとっては、まさに「希望の星」なのであり、
稀の代用の「希ガス」という命名は、奇しくも希ガスのステータスを表す命名と
いうことができるのだ!! ……言い得て妙なり。結果オーライ。
GHSの化学のイントロ授業の一コマである。 
posted by Kyuzen Ichikawa at 23:21| 漢字の由来と派生