2016年04月30日

〈33〉キングダム、(・∀・)イイね!!

古中華人(いにしえちゅうかびと)の視ていた風景
 漢文を読むときに、時に大きく立ちはだかる問題が、
自然のスケールと人間の営みの差異である。
つまり、文の意味はわかっても、その景色がちがっている。
たとえば、
       有兵 守関 不得入    
  「兵ありて、関を守る。入るを得ず」
これが、日本の時代劇、たとえば水戸黄門に出てくるような
細い山道に材木で組んだような関所をイメージしてしまうのが
現和人のふつうの所作である。
 だから、関所破りをするには正面突破ではなく、
山賊がでるかもしれない道なき山道を通って山越えする
しかしながら、広大な中華平原には、そんな隠れみのとなる山などない。
日本にいて、日本の自然の風景の常識からこの文を想像すると、
ウソになる。ではどうするか?
それは、「百聞は一見に如かず」である。

この事情は、日本の古文の学びについてもあてはまるが、
古文の世界をビジュアル的にしるための素材には、
『あさきゆめみし』を推めている。
私も受験生のときには、熟読(熟見)したものである。
そんな受験生向き教材が漢文でもないかなと。
そこで二つばかり紹介したい。
一つは、「墨攻」。漫画としての作者は和人であるが、
日中合作で2006年に映画化されたものである。
原作もよいが、映画の方がビジュアルとしてはすぐれている。
平原の中に、城壁に取り込まれた小国が舞台である。
これなどをみると、上の文の様子が浮かぶようになる。
和人が想像する「関所」など吹き飛んでしまう。

もう一つは、「キングダム」である。
秦の建国にいたるまでの超大河マンガである。
NHKによってアニメ化・放送されている。
読み出すと20巻くらいまで止まらないので
高校二年生までにしか進めないが、
漢文世界を知るには格好の素材かと思う。
それもこれも「漢文をなぜ学ぶのか」という問いにつながる。

ちなみに、「進撃の巨人」の舞台も城壁に囲まれており、
絵も上手いので参考にはなるが、別のインパクトが強いので、
その点に注目する人は中々いないだろう。だから、
これを授業で紹介するときは、静止画をみせることにしている。
posted by Kyuzen Ichikawa at 00:00| 閑綴帳