2017年09月30日

〈42〉 患っていても走れるか?

「疾走」とは速く走ることだが・・・
 疾走という漢字は、英語ではsprintとかdashにあたるそうだ。
つまり、全力で走ること。そこで気になりません?
「疾」は 'やまいだれ()' がついている。
つまりは疾病、疾患の疾である。病んでいるように走る??
患っているのに走る? なんでそれで速く走れるのか???
そんな素朴な疑問を抱いたことはないだろうか?

たしかに、「疾」の中には「矢」が入っている。
古代においては、最速のものの代表格だ。
曰く、「光陰,矢の如し」 
月日はあっという間に過ぎ去ってしまうもの・・・
中学の校長先生が朝礼でよく言ってたな。

だったら「矢走」でいいじゃないの?と思ったりする。
何故に全力ダッシュに疒が付いてくるのか。

『傷寒論』という古典・・・
漢方の古典に『傷寒論』というのがある。
後漢末期から三国時代に張仲景が編纂したとされる中国医学書である。
この「傷寒」とは、主に急性熱性症、たとえば、腸チフスなど高熱をともなう
伝染性・感染性の急性疾患の原因と治療を説く。
これに対して、慢性病のことを「雑病」と呼んだりする。
雑病については金匱要略(きんきようりゃく)』として伝わっている。
このように、古代から、急性病と慢性病の区別はなされていたわけであり、
すでにお気づきのことと思うが、前者が「疾」、後者が「病」にあたる。
あっという間に発症し、(「邪気が人に中(あた)る」)
場合によってはコロリと逝ってしまうのが「疾」。
そういうわけで、「矢」に疒」が付くのである。

それが重篤になれば「病む」という使い分けがあった。
「疾病」という言葉は、すべての病気を合わせた言い方なのである。
もちろん、病んでいてはさすがに速くは走れないから
「病走」という言い方はないようである。

posted by Kyuzen Ichikawa at 07:29| 漢字の由来と派生