前回、未来時制助動詞将をとりあげたので、その流れで、
おなじく「まさに・・・とす」と訓読する且について述べよう。
まあ、率直なところ和人には「且」が漢字には見えない。
音読みを問われたら困るであろう。
音は「ソ」である。?? でも、
祖先、租税、地租、粗雑、骨粗鬆症、壊疽、齟齬、
阻止、俎上、荻生徂徠・・・と書けばなーるほど〜と思うはず。
では、その「ソ」がなぜ未来時制の助動詞将と同義になるのか?
というのが今回の謎解きであり、『漢文解析』には説かなかった部分である。
ご存知のように、且は別の訓読で「かツ」とも読む。
数学でいう「かつ」と「または」の「かつ」は、昔はこの漢字で書かれた。
するとナゾは深まる。未来時制と両方取りの「かつ」がどうして同じ字なのか?
そこで漢字の成り立ちを紐解いてみよう。
これは「供物台」の象形であるといわれる。
供物台というのは、イメージ的には仏壇の前にある
である。この机の形は、中国由来らしい。
中国で祖先を祀る祭礼に供物台として用いられた。
つまり、
祭礼の「示」+供物台= 祖
である。この二本の並行板の上に供物(肉)が乗せられている図が
且の成り立ちであるという。
その並行板は二つのものが並ぶ象徴的イメージとなり、
且は、「並行物」をあらわす表意文字へと転化する。
それが「かツ」である。
そうすれば、あと一息であろう。
現在と並んでいるのは近未来である。
時制の助動詞に転用されるには、時制的パラレルのイメージとともに、
音がポイントである。「ソ・ショ・ジョ(助)」と音に幅はあるが、
サ行の音であることには違いない。そして、
将の代用字として用いられていった・・・・そんな想像をしたくなる。