2014年08月14日

〈11〉読者より質問有り 

先週は、一足先の夏休みにて、ITとは縁遠い環境にいたため、1回分スキップしました。その間に、HPの「以心伝信」から質問が届いていたので、とりあえず、ここで要点をお伝えしておきます。
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漢文解析大変有益でした。とくに第2文型の説明はよく納得できました。
時枝誠記の零辞を思い起こしました。 御著書のp152の精神一到の解析についてですが
「精神が主語で到が動詞」ならば第1文型と思うのですが、後半で第3文型と記載され
精神にOと添え書きされています。ここがよく理解できません。
お教えいただければ幸いです。 (IM氏)
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ご指摘もっともです。これは精神が目的語でが動詞」の誤記であり、訂正が必要です。主語は、一般人称、それに続く文はその主語が継続されている形です。精神を集中する主体は人ですから、基本的にはSVOとなりますが、ここは気合いが入っているので、目的語が先置されかつ主語は省略されて、O+(S)+副+Vと並んでいます。
実は、最初に原稿を書いた2008年当時は、まだ自分の文法解析力も不充分(自分が読解するというだけでなく、世に問うものとしてはという意味ですが)であったようで、元原稿を辿ると、「精神が主語」と捉えてあり「第1文型である」となっています。そこから、数年にわたる校正を経るうち、GHSでの実践、かつ『医大受験』の連載での修練によって、解析力はヨリ精緻になっていったようで、出版直前、形式的な校正が済んだのち、改めて内容を問い、疑いの目でチェックしたときに引っかかった箇所の一つがここでした。その際に、他の箇所は修正されたものの、「精神が主語で」の箇所が「目的語」と訂正されずに残ってしまったようです。
 お詫びして訂正いたします。I・Mさん、丹念に読んでいただいて有り難く思います。
他の点については、また改めてコメントします。
posted by Kyuzen Ichikawa at 22:34| 読者から

2014年05月24日

〈4〉熱烈文信-1-

 さっそく、読者より感想書評をいただいた。そのものは育文社に直接届いたので、先週GHSに転送されており、週末にうけとった次第である。
 さすがに、個々人に直接に返信する暇はないので、ご本人にも快諾を得て、HPにて紹介・返信することにしたい。ただし、個人情報にかかわる部分は適宜改略してある。
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市川久善 様
前略、著書『思考訓練の場としての漢文解析』を読ませて頂きました。
素晴らしい!!漢文参考書の「革命」です。正に読みたい本でした。
更に、素晴らしい点は「考え方」・「根拠」をきちんと説明している事です。
様々な参考書を読んで一番の不満は、問題と答えしかない事です。
その間を繋ぐ考え方、根拠を説明してある本は、殆ど有りません。
不親切極まりないと腹が立ちます。
「漢文」を外国語として「文法」を道具に、頭から読み解きたいと思って来ました。
英文を読む学習中に、伊藤和夫の著書を読んで目から鱗の経験をしたからです。
……自分の受験時代の本や最近の参考書を読みましたが、すべて「訓読」です。
その中で、中野清『漢文なるほど上達法』(ライオン社)に出会いました。氏曰く、
「基本文型、文法、語法を覚えればいい。」まったく同感でした。しかし、
中野氏の本を十回以上繰り返しましたが、私が白文を読んでいくには、
何かが足りませんでした。今思えば「語法の知識」が不足していたと思います。
その後、加藤徹『漢文法ひとり学び』(白水社)が出版され、早速読んでみました。
やはり、白文を読むには、私の実力では何かが足りません。……先生の本を
インターネットで知り、実物を確認して購入、直ぐに読んだ次第です。……英語の
文法と比べながらの説明は解りやすい!! ……
 本書は受験参考書に分類される本ですが、先生には、是非、受験には関係ない
「白文を頭から読み解く為の本」(先生の文法で、古典を練習問題として読み解いて欲しい)
を書いていただきたい。一読者からの無理は承知のお願いですが、宜しくお願いします。
 末筆ながら、先生のご健康と、お仕事の益々のご発展をお祈りします。
             (神奈川県 K.H.)
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 文面からもある程度察せられると思われるが、受験生ではない。「自己紹介」よると、理学部物理学科卒で、大手企業で生産技術に関わってこられての定年後、この向学心である。
 受験生以外からのお便りをいただくことは予想はしていたが、早々に本書の核心を捉えた感想書評をいただいて、我が意を得たり!!とばかりの喜悦をおぼえている。「問題と答えとを繋ぐ考え方・根拠」をもって漢文にあたることこそが、本書の目指す思考訓練≠フ内実である。
 古和人の語学達人が、漢文に対面して、「これはこう読む」と看破した内容を訓読」として伝承してきたのであり、それは「権威」であり、なぜそう読むかとか、そういう読み方でよいのか?というギモンを持たないことが礼であり、疑問を抱くこと自体が不忠であったという伝統がある。(これに関しては、NHKの『タイムスクープハンター』に描かれたことがある)

 私自身は、漢文や中国語の学識者の世界とは、まったく関係ないところで思考しているゆえに、参考文献もなく、学術的動向への配慮などもなく、本書を書き上げた次第であり、だからこそ、類を見ない内容であり、あとがきに「私製文法」と断ってあるゆえんである。

 ちなみに、上記に登場する、中野清氏(元代ゼミ漢文講師・私との関わりは本書で紹介したとおり)も、加藤徹氏(東大文学部中国文学科卒)も、ともに中国文学の専門家である。加藤氏の『漢文の素養 誰が日本文化をつくったのか?』(光文社 2006年)は、最近電子ブックで読んだところであるが、さすがに専門家の知識は‘半端なく’、常々知りたかったことや、あらたな知見(文法ではない)を得られて収穫であった。

 そもそも、これだけの歴史と伝統があって、かつ、参考書類でさえ昔から多く有る中で、あえて『思考訓練の場として』との受験界のエンブレムを背負うにあたり、漢文参考書として、二番煎じの類いではありえないことは無論いうまでもなき事である。
『思考訓練の場としての体系化学』の続く、GHSのメソッドの公開の一環としてもまた、同様である。それゆえ、KHさんの「革命」という文言は、文字通り、額面通りであり、まさに正鵠を射たものであるといえる。漢文を頭から読むという情熱のもとに、あらゆる文献を渉猟してきたからこそ一読にして本書の核心≠ノふれえたのであろう。

 開設の辞でも言及したように、本書は元々、ビジネスマン・一般大衆、漢文に興味のある大人向けに書き下ろしたのが初稿であった。KHさんのために、少しバラすと、初稿の最終章は、センター試験過去問の文法解析ではなく、『般若心経』 のさわりの漢文解析であった。お経だって漢文だ、文法的に読める!!というデモンストレーションのつもりであった。

 本HPの「練習問題」というコーナーは、ver.3のGHS内部テキストに収載してある各種問題集から拝借した文法練習問題をとりあげていこうかと思っていたが、ちょっと軌道を変更して、第二章のつづきにしようかと思いはじめた。
 ページの関係もあり、矛盾と四面楚歌の一部しかとりあげていないが、教科書にあるような有名古典漢文を、もっととりあげて教材としたいとは思っていたことである。もちろん、一般読者から、「この漢文はどう解析するか」とか「漢文解析をしたのでコメントがほしい」というようなものが送られてくれば、その都度、まずはHP上で答えたい、と思う。
posted by Kyuzen Ichikawa at 13:50| 読者から